アンブシュア(楽器を吹くときの口の形のこと。いやらしい意味はない。)は難しい。
アマチュアにとっては勿論、プロにとっても永遠の課題であろう。なにしろ、
音程と音色はアンブシュアで8割がた決まる
といわれるくらいである。
というわけで、今回はアンブシュアの話。
まずはじめに、絶対的に正しいアンブシュアというのは無いようだ。要するに「客を納得させられる音」が出せるのなら、どんなとんでもない吹き方だっていいはずである。
しかし、「いい音」を出すための様々なアンブシュアを平均化すれば、一定の法則というか、決まりみたいなもんがあるように思うので、徒然なるままに書いてみることにする。
本題に戻ろう。
我々ド素人は当然プロのアンブシュアをお手本にすべきなのだが、真似る対象を間違えてはいけない。
唇の厚さがまったく異なる黒人プレイヤーはあまり参考にならないだろう。そもそもアンブシュアがどうなっているのか、見てもわからない(マウスピースが口に埋まっているように見えることもしばしば)。
サンボーンを真似るのもやめといたほうがいいだろう。
急角度をつけてマウスピースをくわえる独特の吹き方はサンボーン自身が研究し尽くした末の結果であろうが、素人は真似してはいけないスタイルであるし、第一格好だけ似せてもあんなふうには吹けない。現実は厳しいのである。これまで、いかにも「サンボーン最高です」的に楽器を斜めに構えて吹く人を何人か見てきたが(フュージョン系サークルに多い)、ろくなのがいない。まずは正統派でいくべきだろう。
といって、中には
パーカー好きが高じてセッティングまで真似するアホ
がおるが、論外である。ブリルハートのマッピに鋼鉄のように硬いリードなんて、そもそも音が出ない。やめとこう。
というわけで、我々は日本人もしくは白人プレイヤーを真似するのが得策であろう。具体的には、宮本大路氏、本田雅人氏(音の好みは分かれると思うが)、あとはフィル・ウッズといったところだろうか。時期やスタイルによっての差はあるものの、この方たちのアンブシュアには一定の共通点があるように思う。
これに、私が師から教えてもらったアンブシュアのポイントを加えると次のようになる。
・ マウスピースの上部(ティースガードのところ)に上の歯をしっかり乗せ、そこを支点とする
(決して下唇にマッピを「乗せる」ようにしてはいかん。噛むのと同じになってしまうからだ)。
・ マウスピースをくわえるとき、下あごは可能な限り脱力し、下にさげて、さらに手前に引く。
・ そうすることによって、リードに接するのは下唇のみになる。決して噛まない!
(「ほ」を発音するときに近い)
口というものは、上下に閉じるような構造になっている。そして、マウスピースの開口部も横長の形になっている。
人間の身体は脳みそによって作られるイメージで容易に変化してしまうので、サックスを吹くとき、どうしても「上下に噛む」というイメージに陥りやすい。
そうなると、音はどうして薄っぺらになってしまう。
我々が目指す「筒型の音」は「横長の薄っぺらさ」を出来るだけ排除する必要があるので、むしろ「縦長の筒型の音」くらいのイメージのほうがよいのかもしれない(というわけで、「ほ」の発音)。
これは、これまで脳内に作られたイメージを再構築しなくてはならないので、とても根気のいる作業であると思う。
・ 下唇は「巻く」のではなく、リードに対して「立てる」イメージ。出しすぎてもいかんらしい。
・ 腹に力を入れ、息をしっかり支える(これは当たり前か)。
以上の点から考えると、最も重要なのは「リードの振動を極力妨げない」こと及び、「マウスピースのオープニングを最大限生かす」ことといえるのではないかと思う。かといって緩いだけのアンブシュアがよいとはいえない。リードがやたら振動するだけの、コントロールのきかない音は音楽的とはいえないからだ。
文章で書けるのはとりあえずこれくらいだろうか・・・。
自分のアンブシュアを写真にとって載せようかとも思ったが、全然勘違いだったら恥ずかしいのでやめた。
※ やたらと偉そうなことを書いてしまったが、上記の内容を私が実践できているかというと、「あはは・・・。すみません・・・。」と言うほかない。
そして、私も当然ド素人なので、「ここで読んだことをやってみたらえらいことになった!」と訴えられても責任は取れません。
さらに、クラシックの吹き方は知りません。ごめんなさい。
ではまた。
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