2012年8月14日火曜日

John Coltrane / "OM"


A面B面通じて1曲な上に、この呪術的なジャケット。
ビビッてなかなか手が出なかった一枚だが、聴いてびっくり。大変気に入った。

冒頭はメンバー全員による詩(?)の朗読から始まる。True Actionがどうたらと言っているがまったく聞き取れない。チベット死者の書からの引用と聞いたことがあるが・・・、ともかくよくわからん。
変なライナーより対訳をつけてくれりゃいいのに。
続いて問題の「オーム、オーム」が始まり(「オーム」というのはインド諸宗教で瞑想などに使われる聖音らしい)、怪しい土台が出来上がったところでコルトレーンがフルトーンで吹き始める。
この音色の強靭なことといったらもう。楽器がぶっ壊れるんじゃないかと思うくらいである。
ファラオ・サンダース十八番のギョエギョエが絡まり、アフリカンドラムが交じり合い、ジョー・ブラジルのフルートが突き刺さり、B面はもはやジャズのフォームではなくなっている。インドや東洋の要素を混ぜ込んだ国籍不明のカオス状態だ。
こういった精神感応ミュージックは嫌いな人にとっては勘弁してくれ状態なのだろうが、私は純粋にかっこいいと思う。サックスプレイヤーとしては参考になる部分は少ない。というかほとんどないのだが、なぜかまた最初から聴きたくなってしまう。
スピーカーの前に陣取り、爆音で聴きたいアルバムだ。
 
関連記事
ジョン・コルトレーン / "Transition"
ルイ・ベロジナス(Ts) / "Live At Tonic"

2012年8月10日金曜日

イーヴォ・ペレルマン "Mind Games"


イーヴォって何人かと思ったらブラジル人のオッサンだった。
何はともあれ、まず音色がいい。
ラバーのマッピの音ではあるが、音色が独特なのだ。
たっぷりとしたローの土台にハイが乗っかっていて、なおかつ独特のジャリッとした倍音が多く含まれている。常にオーバートーンが基本にあるような音だ。

テナー、ドラム、ベースのトリオだが、演奏自体はデュオに近い。
パーカッション的なドラムをバックにペレルマンが延々とソロを吹く場面が多いのだが、正直最初はダレてるなぁと思うところもあった。
が、ちょっと我慢して(笑)注意深く聴いていると、次々に違ったフレーズが湧き出て飽きが来ない。というか次第に脳がトランス状態になってきて気持ちいい。
これは!と思う調性が薄い浮遊感のあるフレーズも連発され、コピー意欲をそそられる。
この種のフレーズは「このコード進行に使えるからコピー!」ではなく「コピーしてみたが、さてどんな進行に使えるかいな?」と考えるのが楽しいタイプのものだ(ヘタクソな言葉遣いだがニュアンスはわかっていただけるかと)。

これは買って大正解。