TBMは若手ばかりでなく、ベテランの演奏も録音し世に出している。
そのひとつが日本テナー界の大御所、スリーピー松本さんによるこの一枚だ。
1976年録音。
松本さんは1926年生まれなので、当時50歳。
ビッグ・フォー時代はブローテナーのような迫力あるプレイがすばらしかったが、本作ではコルトレーンのような音色になっている。
ベテランの演奏なので激渋かと思いきや、実はかなり尖っている。
A面2曲目"You Don't Know What Love Is"では松本さんのフルートが聴けるのだが、
まず驚かされるのは低音の太さだ。
初めて聴いたときはアルトフルートではないかと思ったくらいである。
フルートの低音域を太く豊かな音で吹くというのは実は非常に難しいのだ。
B面1曲目"Right Down Step"は緊張感あふれるコード進行が印象的な急速調の曲。
日野さんのライドシンバルが緊張感にさらに拍車をかけ、松本さんのテナーが全音域を自在に駆け回る。
トリッキーなフレーズも飛び出し、「手に汗握る名演」と呼ぶに相応しい仕上がりになっている。
そして続く2曲目が本アルバムの目玉"My One And Only Love"。
あれこれ書いても仕方ない。
とにかく聴いてみて欲しい。
戦後日本ジャズ史における指折りの名演
であることに疑いの余地なし。
ちなみに、当ブログで既にご紹介した片山広明さんによる演奏と聴き比べると、
「同じスタンダードなのにこうも違うのか!?」
と感じられ、これまた楽しい。
<メンバー>
松本英彦(ts,fl)
市川秀雄(p)
井野信義(b)
日野元彦(ds)
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