「問題児ジョン・サーマン」というタイトルでバリトンサックス。買わないわけにはいかない。
英国フリージャズサックスの雄、ジョン・サーマンの名作『ザ・トリオ』である。
メンバーは
ジョン・サーマン(Bs,Ss,B-cl)、
バール・フィリップス(Ba)
スチュー・マーティン(Ds)。
フリージャズではあるが完全なフリーインプロヴィゼーションではなく、各曲にはやたらとかっこいいテーマが提示される。
バリトンで演ったプログレと言ったほうが適切か。
CDで2枚組み。一気に聴くのはしんどいかと思いきや、まったく飽きない。
サーマンのバリトンはハミエット・ブルーイットの真っ黒さはなく、ブチ切れて暴走するタイプには聴こえない。音色自体もオーソドックスだ。
サックス奏者としての技量は非常に高い。自在に吹き鳴らしまくり、垂直上昇するフラジオ。しかもコントロールが失われない。バリトンはフラジオは出しやすい楽器ではあるが、よくここまで楽器を体の一部にしたものだ。
この演奏のかっこよさ、すばらしさを一言で表すならば、「疾走感」だろう。
バリトンにマーティンのドラムとフィリップスのベースが絡みつき、圧倒的推力をもって突進する。トリオ自体が一つの楽器になっているようだ。
フィリップスのベースはチェロと聞き間違うような場面もあり、3人での演奏とはにわかには信じ難い。
サーマンが近年ECMから出しているアルバムは興味が湧かないので聴いていない。やはり全速前進するバリトンであってほしい。「沈黙の次に美しい音」などヤン・ガルバレクに任せればいいのだ。
←日本版LPには「問題児ジョン・サーマン」という謎の邦題が付いている笑。
マッシュルームカットでバリトンをブゥオォと吹くわけだから、まあたしかに問題児なんだろう、と妙に納得。
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