2012年6月27日水曜日
日野皓正、菊地雅章、ジョー・ヘンダーソン in concert
なぜだか「ソー・ホワット」のタイトルで売られている本作。
そんなことはさておき、いや~これは充実度高い。
日野さんは言うまでもなく、他のプレイヤーのソロも何度聴いても飽きがこないのだが、何しろジョー・ヘンダーソンのテナーがいい。お恥ずかしい話だが、このレコードを聴くまではジョー・ヘンがこんなにキレたテナー奏者だとは思っていなかったのだ。
ブルーノートのPage Oneなどを聴いていると、サブトーン多めの音色は堅実、フレーズは基本的に正統派でどこまでもマイペースな印象を受ける。
それはそれですごくいいのだが、ここでのジョー・ヘンはかなりぶっ飛んでいる。フリーキーに吹く場面まで出てくるのだが、マイペースは崩さないもんだからコルトレーン・フォロワー的な暴れ方はしない。無理せずにアウトする様がまたいいのだ。
B面を1曲で占める"Get Magic Again"はプーサンのオリジナル。
リズムもテーマもない、静かに尖った曲がジョー・ヘンの感性を刺激したのか、これまたモダン・テナーかくあるべきなフレーズを紡ぎ出す。
もっと売れてもいいアルバムだと思うのだが・・・。
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ラベル
・Joe Henderson(Ts),
・峰厚介(Ts),
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2012年6月13日水曜日
ジョン・ゾーン/"Naked City"
機械のような正確な演奏技術で、ピーキーで安っぽくやたらかっこいい音楽をやる。
初めてネイキッド・シティを聴いたときは衝撃的だった。
改めて聴いてみると、ジョン・ゾーンはサックス奏者としてはバップが根底にあるのだなとつくづく思う。「ギョエェェエェー!ケケケケッ」というのがゾーン節なのはもちろんだが、ノーマルな曲調になったときのソロなんかもうバップそのものだ(しかしあの「ケケケケッ」ってどうやればできるんだろうか・・・。やりたいんだが)。
さて、アルバムについてだが、フリー系の音楽は多くの場合ライブが圧倒的によい。
しかし、ネイキッド・シティについてはスタジオ録音のほうが断然疾走感がある。
ライブ盤には山塚アイが参加していないことも大きいだろうが・・・。スタジオ盤を聴きなれていると「ここだ!」というところでアイの絶叫が入らないと物足りないのだ。
とはいえライブ盤では各曲の尺は長めなので、フリゼールのぶち切れソロやゾーンのアルトを心ゆくまで堪能できる。"Inside Straight"の循環呼吸アルトソロは圧巻。まだいくのか!?とスピーカーの前で身を乗り出したくなる。
※スタジオとライブでは、やってる曲はほとんど同じ。比べるにはもってこいである。
2012年6月9日土曜日
アーチー・シェップ/"Fire Music"
「マルコム・マルコム・・・」で物議を醸した『ファイアー・ミュージック』。
火を噴くような超フリーかと思っていたが、案外そうでもない。
シェップのフリーキーソロも勿論あるが、急な展開、セクションにフレーズの繰り返しを吹かせて盛り上げていく手法など、作曲者としての側面がより目立つ。
正直、オラオラ系テナーの爆発を期待していた私としては肩透かしを喰った感は否めなかったが、我慢して(笑)聴いているうちに、コルトーレンへの対抗心からこういう構想を練ったのではないだろうか、と勝手に考えた。
何かが足りない「イパネマの娘」はシェップらしい雰囲気が病みつきになる。
この演奏は白人音楽への皮肉だ、と捉える向きもあるらしい。うーむ、どうなんだろうか・・・。
本人へのインタビューが見つからなかったのでわからんが、崩れているのはシェップのテナーだけだし、「皮肉」というより「俺流のイパネマ」をやりたかっただけにも思えるのです。
どうでしょうか・・・。
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