部活でサックスを始めた高校1年生のとき、何かの雑誌で「アーチー・シェップが素晴らしい」と書いてあったのを読んで地元の図書館で"Attica Blues"を借りた。
今から思えば、シェップのCDが図書館に置いてあること自体笑える。
誰かリクエストしたんだろうか・・・。
ともかく聴いてみたところ、スピーカーから流れ出したのは
ドロドロファンクとグチャグチャジャズのシチュー
みたいな、とんでもないものであった。
当時私が持っていたサックスのCDはキャンディー・ダルファーとサンボーンだったわけだから、それはそれはおったまげた。
と同時に、「こんなわけのわからん音楽が二度と聴くまい」と思ったわけです。
さて、時は過ぎて今改めて聴いてみると
これがまたとんでもなくかっこいいと感じるのだから困ってしまう。
アーチー・シェップは「フリージャズの闘士」と呼ばれた時代もあり、敬遠してしまう方も多いかもしれないが、この盤に関してはあまり心配要らない。
本作は、アッティカ刑務所での暴動で多数の黒人囚人が殺された事件を元に作られたそうだが、シェップの作品の多くに人種差別への怒りがあるのは言うまでもない。
この時代の多くの黒人ミュージシャンがそうであったように、根底に流れる思想は
「ブラック・イズ・ビューティフル」
そのものだ。
が、ここでは詳述は割愛させていただく。
詳しく知りたい方は、ジャズ批評のバックナンバーでも探したほうがよりわかるはずだ。
話を戻そう。
ともかく、このレコードはフリージャズというより、インチキ臭いファンクといった方が近いだろう。
なぜこういったフォーマットを用いたのかは定かではないが、このインチキ具合がまたかっこいいのだから困ってしまう。
70年代の泥臭いファンクとシェップ独特の呪術的なリズム。
それを演奏するのはヴォーカル、ホーンセクション、ストリングスまで混ぜた30人以上の大バンド。
Pファンクにも通じる真っ黒なノリだが、意外(というのは失礼だが)調和がとれている。
印象がガラッと変わる6曲目はサッチモの追悼曲。
美しいストリングスをバックに、ソリッドな音色のソプラノを吹きまくるシェップが非常に印象的だ。
ただし、趣旨のわからんフェイド・アウトでの終わらせ方はどうにかして欲しかった・・・(笑
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追悼マリオン・ブラウン
2 件のコメント:
以前ホンカーはなぜテナーの記事にコメントさせて頂きました。
これいいですよね。
Steamって名曲だと思いますが、シェップは何回くらい吹き込んでるんでしょうか。
いつもコメントありがとうございます!
テナー奏者としても好きですが、いい曲かくんですよね・・・。
たしかそのものズバリ"Steam"というアルバムがあったと思いますが…。
うろ憶えでスミマセン。
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