2012年4月13日金曜日

ジョン・コルトレーン / "Transition"

なぜか紹介される機会が少ないように感じる『トランジション』。
だが、コルトレーンのアルバムの中で3本指に入る傑作と思う。


『至上の愛』と『アセンション』のちょうど中間に録音されたもの。モードからフリーに移行せんとする時期であり、本作もフリーではなくやたらとゴリゴリなモードといった雰囲気だ。
だが、そんな豆知識は聴けば簡単に吹っ飛ばされる。
表題曲「トランジション」のあまりに圧倒的な迫力。
このあたりの時期からコルトレーンの音色はさらに次の段階に達してるように思われる。
暴力的なまでに楽器が鳴り、よりエッジが立ち、密度はどんどん増していく。
疲れを知らない長尺ソロは延々と続く。一体いつまで吹く気なんだと。
そして、賛美歌のような美しさのバラッド「ディア・ロード」をはさみ、「組曲」に突入する。
これがまた何とも凄まじい。
マッコイ・タイナー、ジミー・ギャリソン、エルヴィン・ジョーンズの各ソロがつながり、怒涛のテナーソロへ流れ込む。メロディックな超絶フレーズの嵐、フラジオ、フリーキートーンを連発しオーガズムへと上り詰める。そしてごく自然にテーマへと帰着。
こんな演奏をゼロから作り上げられる人間は他にいない。
なぜコルトレーンの死後10年も経ってから発表されたのか、まったくもってけしからん。

後期コルトレーンを敬遠している方にこそ聴いて欲しい一枚だ。

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