ヘイデンが反戦思想から本作を作ったらしいが、正直どうでもよい。
音楽のバックグラウンドを知ることでより深く理解できることに異論はない。この音源が録音されたのは1969年。米国はベトナムを爆撃しまくり、ウッドストックでフェスが開かれた時期だ。こうした時代背景からすれば、ふむふむと納得できる部分はある。
が、最初から知識だけ仕入れることは不要と思う。まず音を聴くべきだ。
反戦ということを音楽が表現し得るのか、という問いはほとんど禅問答であり、正直議論してもあまり意味ない。
ところが、反戦思想から生まれた名曲で云々というディスクレビューなんか読むと、なんとなく理解した気になって他人のどうでもいい意見をさも自分の意見のようにしてしゃべりたくなったりするのだから厄介だ。
まず聴いてみて、そこからどう思うか、やはりこれは反戦の歌なのだと捉えるか、各自で考えればよかろう。
大事なのは音楽自体に押してくるようなパワーがあるかどうか、ではないか。
いろいろグチャグチャ書いてしまったが、ともかくこのオーケストラの音楽は単純にかっこいい。カーラ・ブレイの、混沌の中に美しさが現れるアレンジ。よくもまあこういう曲を書けるものだ。
映画のサントラをそのままバッキングに使っている箇所などは好みの分かれるところだろうが、ナマ楽器の肉声を譜面で統制しつつ、自由にもやらせるというのは実に痺れる。
サックス好きとしては、レッドマンの豪腕を振り回す如きテナーだけでも一聴の価値はある。
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