2007年12月30日日曜日

スプリングスティーンの黄金時代






私はブルース・スプリングスティーンが大好きだ。70年代にデビューし、「ロックンロールの未来を見た」と評され、一気にスターダムにのし上がったロッカーである。いかにもアメリカンな雰囲気の疾走するような曲調と思わずライナーノーツを読ませる深い詩、咆哮のごときサックスが素晴らしい。
数あるアルバムの中でも『Born To Run(明日なき暴走)』は名盤中の名盤である。
余談だが、私がサックスを始めたきっかけはスプリングスティーンなのだ。初めて聴いた中学2年のときに衝撃を受け、「高校に行ったらサックスをやろう!」と思ったときのことは今でも忘れていない。


 で、スプリングスティーンがつい最近新しいアルバムを出した。早速聴いてみたのだが、なにかが足りない。たしかにかっこいいのだが、鳥肌が立つような感じがしない。

聴いた瞬間に「なんだこりゃあ!」と思わず叫んでしまうような音楽に、歌詞を何度も読み返してしまうような曲に出会った経験は皆様にも少なからずあるのではないだろうか。
私にとってBorn To Runはまさしくそれだった。全曲はずれなし。疾走感というか、スピード感があった。地平線まで続くハイウェイをV8気筒のシボレーで突っ走る風景が見えるようだった。
しかし、今回のアルバムにはそれがない。というより、これまでBorn To Runを超えるアルバムは出ていないのではあるまいか。
初期は青春群像の描写が目立ったが、社会的なテーマを歌うように作風も変わっていくので、一概に比較すべきではないかもしれない。他が駄目だというつもりもない。『Nebraska』も名作だと思うし、『Ghost Of Tom Joad』もいい。
が、それでもBorn To Runを超えるように思えないのである。

これはスプリングスティーンに限ったことではない。初期に決定的な作品が生まれてしまい、その後超えるものを作ることができなくなる例は他にも多い。
メンバー、環境、そして時代。全ての条件がそろったときにこのような作品が誕生するのではないだろうか。たとえ技量が増していっても同じものはできない。そんなことを考えてしまう。
『Born In The USA』についてはまたの機会に。
しかし、しょっぱなからサックスに関係ないことばっか・・・。
先が思いやられる。

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