前回ハミエット・ブルーイットについて書いたあと、同じロフトジャズ仲間のデヴィッド・マレイ(David Murray)を無性に聴きたくなって久しぶりに取り出したのがコレ。
ヨーロッパを中心に活動するピアニスト高瀬アキさんとのデュオという、少々珍しい編成だ。
マレイはテナーとバスクラリネットを吹く。
マレイは70年代ニューヨークのロフトジャズ・ムーヴメントで頭角を現したテナー奏者だ。
リーダーアルバムがやたらと多く、ワンホーンカルテットからビッグバンド、変なファンクまで守備範囲は広い。
「アルバート・アイラーを踏襲したスリリングなプレイ」(?)
などという、わかったようなわからないような謳い文句で日本でも紹介され話題となった。
たしかにアイラーのようなフリーフォームの奏法を多用するが、基本的スタイルは戦闘的な前衛ではなく、むしろコールマン・ホーキンスに根ざした新鋭正統派という印象が強い。
音はとにかく極太。
鉄芯が入ったようかんのような重さがあり、
(我ながらいい例えだなァ)
コシもある。
これにはベルグラーセンのマウスピースも一役買っていると思われる。
※ラーセンのマウスピースについてはまたの機会に。
話を戻そう。
本作は、WSQの爆発力を期待するリスナーには少々物足りないかもしれないが、マレイのテナーとバスクラをじっくり聴くことができる好アルバムだ。
スラップタンギングを多用したバスクラがベースラインを吹き、ラグタイム調のピアノと絡む5曲目など、聴いていてウキウキしてしまう。
さらには、いかにもなバップフレーズを吹きつつも独特のスケールの使い方や音の跳躍、突如としてぶちかますフラジオなどが混ざる
「マレイ流のバップ」
を、モンクの有名曲で聴くことができる。
この点はテナープレイヤーにとって大変勉強になる素材といえるだろう。
オススメである。
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