2012年7月7日土曜日

マーチンのバリトンサックス/ネック延長作戦

大した参考にならないが、今日は楽器のお話。
私のバリトンサックスは"The Martin"と呼ばれるやつで、Low B♭までしかない。
機種に共通かどうかはわからんが、楽器としての特徴は
・音色は比較的柔らかいが、太い。
・操作性はテーブルキー以外はまずまず。
といったところである。

ただ、致命的な欠点があった。
全体的に音程が高いのである。

これはどうやら古い時代のバリトンに共通した症状のようだ。その昔、コーンやらマーチンやらが活躍していた時代にはチェンバーがやたらとでかい、モコモコしたサウンドのするマウスピースしかなかったのだ。それに合わせて楽器の設計をした結果、こういう事態になったらしい。
ネックに1cmくらいしかマッピが刺さらないと、吹いたときに安定しない。さらにネックとの接触面積が小さすぎると振動が管体に効率よく伝わらない。フルパワーで吹いても、どうもグリップできない感じになってしまう。

そこで、思い切ってネックを1.5cm延長することにした。
ネックのマウスピース接続側に同じ口径の真鍮パイプをハンダ付けし、つなげた部分の上から薄い真鍮の板を巻いて補強するというものだ。
リペア屋のオジサン曰く、1.5cm程度なら、テーパーをかけなくても影響はないだろうとのこと。

清水の舞台からダイブする気でやってみたのだが、吹奏感は抜群によくなった。振動が無駄なく伝わる感覚があって、余計なストレスを感じずに済む。
上手くいかなかった場合でもハンダ付けなので、原状回復は可能。

結果的には正解だったようだが、ただでさえ長いネックがさらに長くなってしまった。
吹いているとき楽器がやたら遠い。

古い時代のバリトンを好んで使う人は少ないだろうが、お悩みの方は試してみてはいかがでしょうか?

2012年7月1日日曜日

ライヴ・フロム・サウンドスケイプ/"Hell's Kitchen"


学生時代、アングラ感のにじみ出たジャケに惹かれて何も知らずに買ったのだが、これが大当たり。
ニューヨークのライブハウス「サウンドスケイプ」でのライブをオムニバスにしたものだが、尖ったロフトジャズが詰まっていて、とにかく大満足であった。
DIWにはこういうのを出して欲しい!デヴィッド・マレイの駄作やグロスマンの変なスタンダード集なんか出している場合じゃないのだ。

まずオディーン・ポープ・トリオにやられる。
重機関銃のようなリズムセクションにポープの強靭なテナーが乗っかる。でもって抜群にかっこいいテーマのモードが展開。ヘヴィロックのライブを聴いているようだ。
次にブロッツマン・トリオが出てきて、デビュー以来ずーっと同じスタイルのブギョブギョを撒き散らす。このオッサン本当に変わらないw。

そして、エド・ブラックウェルとチャールズ・ブラッキーンのデュオ。これには驚いた。
ドラムとテナーの二人でロフトジャズと来ればどんだけメチャクチャな演奏なのかと期待したが、よい意味で裏切られた。曲が綺麗なのだ。
コード楽器やベースがいないのに、曲の流れが見える。フリージャズにありがちな中だるみがない。しかもテナーの音色、唄い方がすごくいい。

このあとにドン・チェリーが洞窟の中で演奏した録音というのが入っているんだが、ラッパは吹いておらず、フルートをやっている。バックには地下水の滴る音がやたら入っている。
うーん、これはどうなんでしょうか・・・。空間系というかなんというか、うーん・・・。

以上

2012年6月27日水曜日

日野皓正、菊地雅章、ジョー・ヘンダーソン in concert



なぜだか「ソー・ホワット」のタイトルで売られている本作。
そんなことはさておき、いや~これは充実度高い。
日野さんは言うまでもなく、他のプレイヤーのソロも何度聴いても飽きがこないのだが、何しろジョー・ヘンダーソンのテナーがいい。お恥ずかしい話だが、このレコードを聴くまではジョー・ヘンがこんなにキレたテナー奏者だとは思っていなかったのだ。

ブルーノートのPage Oneなどを聴いていると、サブトーン多めの音色は堅実、フレーズは基本的に正統派でどこまでもマイペースな印象を受ける。
それはそれですごくいいのだが、ここでのジョー・ヘンはかなりぶっ飛んでいる。フリーキーに吹く場面まで出てくるのだが、マイペースは崩さないもんだからコルトレーン・フォロワー的な暴れ方はしない。無理せずにアウトする様がまたいいのだ。
B面を1曲で占める"Get Magic Again"はプーサンのオリジナル。
リズムもテーマもない、静かに尖った曲がジョー・ヘンの感性を刺激したのか、これまたモダン・テナーかくあるべきなフレーズを紡ぎ出す。
もっと売れてもいいアルバムだと思うのだが・・・。

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2012年6月13日水曜日

ジョン・ゾーン/"Naked City"



機械のような正確な演奏技術で、ピーキーで安っぽくやたらかっこいい音楽をやる。
初めてネイキッド・シティを聴いたときは衝撃的だった。

改めて聴いてみると、ジョン・ゾーンはサックス奏者としてはバップが根底にあるのだなとつくづく思う。「ギョエェェエェー!ケケケケッ」というのがゾーン節なのはもちろんだが、ノーマルな曲調になったときのソロなんかもうバップそのものだ(しかしあの「ケケケケッ」ってどうやればできるんだろうか・・・。やりたいんだが)。

さて、アルバムについてだが、フリー系の音楽は多くの場合ライブが圧倒的によい。
しかし、ネイキッド・シティについてはスタジオ録音のほうが断然疾走感がある。
ライブ盤には山塚アイが参加していないことも大きいだろうが・・・。スタジオ盤を聴きなれていると「ここだ!」というところでアイの絶叫が入らないと物足りないのだ。
とはいえライブ盤では各曲の尺は長めなので、フリゼールのぶち切れソロやゾーンのアルトを心ゆくまで堪能できる。"Inside Straight"の循環呼吸アルトソロは圧巻。まだいくのか!?とスピーカーの前で身を乗り出したくなる。

※スタジオとライブでは、やってる曲はほとんど同じ。比べるにはもってこいである。

2012年6月9日土曜日

アーチー・シェップ/"Fire Music"



「マルコム・マルコム・・・」で物議を醸した『ファイアー・ミュージック』。
火を噴くような超フリーかと思っていたが、案外そうでもない。
シェップのフリーキーソロも勿論あるが、急な展開、セクションにフレーズの繰り返しを吹かせて盛り上げていく手法など、作曲者としての側面がより目立つ。

正直、オラオラ系テナーの爆発を期待していた私としては肩透かしを喰った感は否めなかったが、我慢して(笑)聴いているうちに、コルトーレンへの対抗心からこういう構想を練ったのではないだろうか、と勝手に考えた。

何かが足りない「イパネマの娘」はシェップらしい雰囲気が病みつきになる。
この演奏は白人音楽への皮肉だ、と捉える向きもあるらしい。うーむ、どうなんだろうか・・・。
本人へのインタビューが見つからなかったのでわからんが、崩れているのはシェップのテナーだけだし、「皮肉」というより「俺流のイパネマ」をやりたかっただけにも思えるのです。
どうでしょうか・・・。

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2012年5月12日土曜日

チャーリー・ヘイデン / "Liberation Music Orchestra"



ヘイデンが反戦思想から本作を作ったらしいが、正直どうでもよい。
音楽のバックグラウンドを知ることでより深く理解できることに異論はない。この音源が録音されたのは1969年。米国はベトナムを爆撃しまくり、ウッドストックでフェスが開かれた時期だ。こうした時代背景からすれば、ふむふむと納得できる部分はある。
が、最初から知識だけ仕入れることは不要と思う。まず音を聴くべきだ。
反戦ということを音楽が表現し得るのか、という問いはほとんど禅問答であり、正直議論してもあまり意味ない。
ところが、反戦思想から生まれた名曲で云々というディスクレビューなんか読むと、なんとなく理解した気になって他人のどうでもいい意見をさも自分の意見のようにしてしゃべりたくなったりするのだから厄介だ。
まず聴いてみて、そこからどう思うか、やはりこれは反戦の歌なのだと捉えるか、各自で考えればよかろう。
大事なのは音楽自体に押してくるようなパワーがあるかどうか、ではないか。

いろいろグチャグチャ書いてしまったが、ともかくこのオーケストラの音楽は単純にかっこいい。カーラ・ブレイの、混沌の中に美しさが現れるアレンジ。よくもまあこういう曲を書けるものだ。
映画のサントラをそのままバッキングに使っている箇所などは好みの分かれるところだろうが、ナマ楽器の肉声を譜面で統制しつつ、自由にもやらせるというのは実に痺れる。
サックス好きとしては、レッドマンの豪腕を振り回す如きテナーだけでも一聴の価値はある。

2012年5月4日金曜日

ゲイリー・バーツ / "There Goes The Neighborhood!"


ド直球なジャズのアルバム。
選曲もバーツのオリジナルは1曲だけ。スタンダードも数曲含まれており、たしかに斬新さには欠けるが、アルトは芯が通ったパワフルな音色。若干暗めなところはマクリーンに通じるところも感じる。

唯一のオリジナル曲"Racism"(人種差別のことだろう)は超速マイナーブルースだが、バチバチッと吹きまくり、年齢を感じさせない。"Impressions"もやっており、このソロは素晴らしいスピード感。やはりコルトレーンに傾倒しているのだなと思う。
ゲイリー・バーツといえば、エフェクトかけたサックスでブラックジャズを吹くアフロのオッサンというイメージであった。どうでもいいが、昔のジャケ写なんかほとんど具志堅用高である。
そうした時代の演奏と比べて近年は野心がなくてダメだとする見方もあるようだ。
しかし、もともとサックスにエフェクトをかけるのが嫌いな俺としては、これくらいストレートなジャズのほうがスカッと爽快である。
格別に華のある演奏ではないが、手堅さをお勧めしたい一枚だ。

2012年4月23日月曜日

ペッパー・アダムス&ジミー・ネッパー/"Pepper-Knepper"

名前が似ていることをネタにした企画かと思いきや、この二人仲がよかったのか他にも双頭バンドのアルバムがある。


低音楽器ばっかでとりあえず地味だが、なんともいえない味のある演奏。
アダムスはタンギングの切れよくゴリゴリと吹くが、ほのぼのした雰囲気の曲目、相方がトロンボーンであることの影響もあってか、全体的にゴリゴリ系ではない。

ジミー・ネッパーというトロンボニストについてはよく知らない。
ものの本を紐解くと、ミンガスバンドのアレンジャーだったときに、ミンガスに殴られて歯を折られたこともあったらしい。なんとも気の毒な話だ。
そんなエピソードを聞くと演奏者としてのレベルはいかがなものかと先入観を持ってしまうが、本作を聞くと派手ではないものの「いぶし銀」な好プレイヤーであったことがわかる。
音色はビッグバンドでいえばリード向きではないのだろうが、曲によって音色も吹き分けているし、小粋なバップフレーズに好感が持てる。
"I Didn't Know About you"のソロなんかトロンボーンらしさが出ていてとてもよい。
そのあと急にウィントン・ケリーのオルガンが唐突に出現して笑えるんだこれが。

2012年4月13日金曜日

ジョン・コルトレーン / "Transition"

なぜか紹介される機会が少ないように感じる『トランジション』。
だが、コルトレーンのアルバムの中で3本指に入る傑作と思う。


『至上の愛』と『アセンション』のちょうど中間に録音されたもの。モードからフリーに移行せんとする時期であり、本作もフリーではなくやたらとゴリゴリなモードといった雰囲気だ。
だが、そんな豆知識は聴けば簡単に吹っ飛ばされる。
表題曲「トランジション」のあまりに圧倒的な迫力。
このあたりの時期からコルトレーンの音色はさらに次の段階に達してるように思われる。
暴力的なまでに楽器が鳴り、よりエッジが立ち、密度はどんどん増していく。
疲れを知らない長尺ソロは延々と続く。一体いつまで吹く気なんだと。
そして、賛美歌のような美しさのバラッド「ディア・ロード」をはさみ、「組曲」に突入する。
これがまた何とも凄まじい。
マッコイ・タイナー、ジミー・ギャリソン、エルヴィン・ジョーンズの各ソロがつながり、怒涛のテナーソロへ流れ込む。メロディックな超絶フレーズの嵐、フラジオ、フリーキートーンを連発しオーガズムへと上り詰める。そしてごく自然にテーマへと帰着。
こんな演奏をゼロから作り上げられる人間は他にいない。
なぜコルトレーンの死後10年も経ってから発表されたのか、まったくもってけしからん。

後期コルトレーンを敬遠している方にこそ聴いて欲しい一枚だ。

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2012年4月8日日曜日

ジョン・ルーリー(ラウンジ・リザーズ)



ジョン・ルーリー率いるラウンジ・リザーズのファーストアルバムがこれ。
バンドとしては、正直上手いんだかヘタクソなんだかわからない。本人曰く「フェイク・ジャズ」だそうだ。
ともかくルーリーのアルトはヨレヨレ。楽器はあまり鳴っていない。これはどう考えてもヘタクソなんだが、本人の吹きっぷりに迷いは感じられず。アート・リンゼイの好き勝手なノイズギターとなぜか上手いことかみ合っている。
『ハーレム・ノクターン』なんか、ろくすっぽソロも吹かないしおちょくってるように聴こえるのだが、オリジナル曲に顕著に見える「計算された適当さ」みたいなものがこのバンド独自のカラーなのだろう。
フリージャズのようなハチャメチャさはなく、かといってバップのような技量至上主義でもない。微妙にロックやニューウェーブの方向に寄ったインチキ臭い安っぽさが絶妙なかっこよさを生み出している。
ジャケットはイケてないが、名盤と思う。

ちなみにルーリーは映画俳優としてもその筋では有名らしい。見たことないのでわからんが・・・。

2012年4月3日火曜日

アルバート・アイラー/"Prophecy"

『スピリチュアル・ユニティ』録音の1ヶ月前に行われたニューヨークでのライブ盤である。

ライブということもあってか、録音はかなり適当。音質はスピリチュアル・ユニティより格段に悪い。
だが、ライブだけあって演奏はなんとも生々しく、楽器を通して肉声をそのままぶちまけたような吹き方だ。
聴いていて思うのは、アイラーは色々な音色を吹き分けられるプレイヤーだったということだ。
中音域の太さは王道テナーそのもの、Ghostのテーマではまるでチェロのようにも聴こえる。この演奏をするために余程練習したのだろう。

2012年3月24日土曜日

ルイ・ベロジナス(Ts) / "Live At Tonic"

ルイ・ベロジナス(Louie Belogenis)のライブ盤。
コルトレーンアイラーに強く影響を受けているプレイヤーで、他にも『メディテイションズ』とか『ベルズ』(まんまじゃん・・・)というアルバムを出している。
実はジョン・ゾーンの勉強仲間でもあったらしい。


2012年3月20日火曜日

ジョン・サーマン/ "The Trio"

「問題児ジョン・サーマン」というタイトルでバリトンサックス。買わないわけにはいかない。

英国フリージャズサックスの雄、ジョン・サーマンの名作『ザ・トリオ』である。
メンバーは
ジョン・サーマン(Bs,Ss,B-cl)、
バール・フィリップス(Ba)
スチュー・マーティン(Ds)。

フリージャズではあるが完全なフリーインプロヴィゼーションではなく、各曲にはやたらとかっこいいテーマが提示される。
バリトンで演ったプログレと言ったほうが適切か。




CDで2枚組み。一気に聴くのはしんどいかと思いきや、まったく飽きない。

2012年3月11日日曜日

スリー・バリトンサクソフォン・バンド/ "Plays Mulligan"

ニック・ブリグノラ、ロニー・キューバー、ゲイリー・スマリアン
という現代最高峰のバリトン奏者3人が一同に会し、マリガンに捧げて吹きまくるという、なんともしびれる一枚。バリトン好きにはたまらない。




パーソネルを見ると、ふむふむピアノレスか。ここらへんはマリガンへのオマージュか?
ジャケットもナイトライツっぽいし…。
しかしながら、3人とも音はブリブリ。
誰もマリガンの真似なんかしていない笑。ウェスト・コースともへったくれもない。

各プレイヤーのソロ・アルバムを聴いて「この人音はやっぱこうだよナ~」などと知った口を利いたりしたが、こうして3本並べられると
正直まったくわからない。すいませんでした。

2012年3月8日木曜日

メイヤーのアルトマウスピース(現行品)

マウスピースは何を使うか。これにこだわるのはサックス吹きの性みたいなものだ。
特にヴィンテージを追い求める人は多い。
たしかに現行品とはそもそも材質が違うし、抜群な音が出せるものもあると聞く。

しかし如何せんあまりに高価だ。高すぎる。
ニューヨーク・メイヤーだと10万円くらいはざらだ。しかも、ただ古いだけのろくでもないものも混ざっている。

であれば、実用に問題のない現行品をよく選んで買ったほうがいい。十分事足る。
メイヤーでいえば、現行品は1万円。選んで買って別の店でまた選んで前買ったやつを売って…、を繰り返してもトータルの支出は2万円くらいで収まるだろう。
浮いた金でプロのレッスンを受けたほうが余程効率的じゃなかろうか。

写真は知人から拝借している6MMの現行品。サイドレールの幅は均一で、きれいなバッフルが少し付いている。
まったくバッフルのないスポッと落ちていくような形より、音は幾分明るい。
フラジオの当たりも遜色ない。ファズトーンも問題なく出る。
最近巷に出回っているヴィンテージ復刻系(?)のマウスピースとも吹き比べたが音色、鳴りともに劣るとは感じなかった。
※ニューヨーク・メイヤーやらブラザーズやらと吹き比べたことはないので、そこはぜんぜんわかりません。

1本2~3万円するハイエンドマウスピースと比べても、コストパフォーマンスの点でも十分なのではないか。


さらにいえば、ヴィンテージだろうが現行品だろうが求めるポイントは同じなのだ。

・上から下まで均一に鳴るか
・最低音、最高音がピアニッシモで出せるか
・好みの音色か
・そして何より、吹くときにストレスを感じないか

音色の好みはあれど、要件を満たすならば現行品でもまったく問題ない。
有効な選択肢と思が、いかがでしょう?

2012年2月15日水曜日

ソニー・スティット / "Sonny Stitt"

言わずと知れた名盤を紹介したって仕方ないという意見もあるだろうが、いいものはいいんだから仕方ない。




文句なく満場一致、ソニー・スティットの名盤である。

アルバムタイトルからしてすばらしい。何しろ自分の名前だけなんだから。
「山田太郎」というアルバムがレコード屋で売られているようなものである(山田太郎さんて方いらしたらすみません)。
ジャケットも、まあどうなんだろうか…。血管浮きすぎである。

2012年2月10日金曜日

片山広明 / "そーかなあ"

まったく何て音を出すんだこの人は・・・。

酔いどれモンスター・テナー、片山広明さんである。









タイトルからして人を喰っている。『そーかなあ』、どーかなあ、とでも言えというのか(笑)。

個人的には渋さ知らズでの演奏よりも、少人数グループの片山さんの方が好みだ。
男気溢れる重量級テナーサウンドを思い切り浴びたいではないか。

古澤良治郎(ドラム)、望月英明(ベース)、加藤崇之(ギター)というパワフルなリズムセクションに乗ってテナーが暴れまくる。
フリージャズ独特の難解さはなく、うるさくてデタラメで最高に楽しい「片山ワールド」に引き込まれる。

2012年2月4日土曜日

フリージャズ大祭 "インスピレーション&パワー14"

昭和48年(1973年)、2週間にわたって新宿で行われた前衛・実験音楽の祭典。14日間のうち8グループの演奏を編集・収録したドキュメント録音である。



反体制運動の陰りとともに、日本フリージャズの勢いも衰えが見え始めた時期であったらしい。
このままジリ貧になる流れを打開すべく、副島輝人氏の呼びかけによってこのフリージャズ祭りは催された。
収録されたグループは以下の通り。
宮間利之とニュー・ハード
吉沢元治ベースソロ
沖至クインテット
ナウ・ミュージック・アンサンブル
富樫雅彦・佐藤允彦デュオ
高柳昌行ニュー・ディレクション・フォー・ジ・アーツ
がらん堂
山下洋輔トリオ

2012年1月27日金曜日

クローゼのエチュード

今日は練習の話でも。

ともかく社会人は例外なく忙しい。
限られた練習時間をどう使うかは最大の課題といってもいい。
上手くなりたい一心抑えがたく、となれば必然的にやりたいことは山積する。
倍音練習での音色作り、譜面の練習、曲のコピー、アドリブに必要な理論の習得、コードとスケールへの反応速度向上…etc、
が、当たり前も当たり前な話だが、基礎練習はやはり大事なのだ。



曲の練習をやりたい気持ちをグッと抑え、クラシックのエチュードをシコシコ練習する。
足で適当にリズムを取ったりせず、必ずメトロノームを使う。自分が何のキーのスケール練習をしているのか考えつつやる。
すると、技量の未熟さが露見する。これは結構つらい作業だ。
音の立ち上がりが悪い、疲れると音が潰れる、運指とタンギングが合わない、やたらと走る、苦手な運指は極端に出来ない…etc。
1ページなど容易に進まない。
もーーうんざりだ、やってられん!となっても我慢してやる。これが演奏の基礎体力になり、ひいては周囲をねじ伏せるアドリブソロにつながっている。
パーカーでさえ、ド下手くそな時にこういう練習をやっていたはずなのだから。

2012年1月8日日曜日

日野元彦カルテット feat. 山口真文(Ts) / "流氷"

文句なしの大名盤である。これを聴いてかっこいいと思わない奴に用はない。
つくづくスリー・ブラインド・マイスはさすがだなぁと思わされる。しかし、なぜこの名盤をちゃんとCD化しないのか。まったくもってけしからん。



1976年2月に根室市民会館で行われたライブの実況録音である。
とりあえず今では考えられない面子がそろっている。

日野元彦(ドラム)、渡辺賀津美(ギター)、井野信義(ベース)、清水靖晃(テナー、ソプラノ)、そしてゲストに山口真文(テナー)
す、すげぇ・・・。

表題曲「流氷」はモード一発の曲だが、キメの印象的なテーマが一気に興奮を誘う。ここで2テナーのソロが炸裂する。
山口真文さんはさすがの落ち着きぶりだ。熱気を孕んだフレーズの中にもどっしりとした貫禄が感じられる。次が清水靖晃の激情的なテナー。ファズトーンから一気に駆け上がり、コンテンポラリーな速射砲フレーズを吹きまくる。この時若干20歳。若さゆえの饒舌さなのか。
二人の演奏は、言うなれば「静」と「動」のテナー。それを煽る日野さんのまるでロックのようなドラム。これは必聴である。

スタンダード"Soultrain"も収録しているが、これは山口さんのテナーをフィーチャリングしている。
渋すぎる。こんないい音で吹くことが出来たらどんな気持ちだろうか。
武田和命さんの名演とはまた違った味わいがある。

レコードでも中古屋で見つけたら即買いすべき一枚だ。借り物でない日本ジャズのパワーと熱気が詰まっている。


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