2011年3月21日月曜日

ペッパー・アダムス(Bs) / "Encounter!"

久々の更新になってしまった・・・。

前回はズート・シムズについて書いたが、本日ご紹介するのはバリトンサックスの雄ペッパー・アダムスとの競演盤"Encounter!"である。

1968年録音。
ペッパー・アダムスといえば、説明不要のブリブリゴリゴリのバリトンだが、クール派テナーのズート・シムズとの競演が異色の作品だ。

アダムスの名盤としては"Critics Choice"や"10 To 4 At Five-Spot"が挙げられることが多いが、

アダムスのスローナンバーが聴きたいならば、

少々渋めの本作を推したい。

何はともあれ、エリントンで有名な"Star Crossed Lovers"が出色の出来栄えだ。
ズートとの2管だが、曲は4分弱と短く、ソロもあまりない。
が、印象的なテーマを通して、二人のプレイヤーの音をじっくりと聴くことができる。
アダムスの演奏は偉大なるエリントン楽団の番頭ハリー・カーネイに捧げたもののようにも聴こえるのだ。

また、アダムスがワンホーンでしっとりと聴かせる"I've Just Seen Her"もこれまた名演である。
バリトンはエッジは立っているが、音の中は柔らかいというような印象で、これがバラッドにバッチリハマるのである。


←なんとも頼りない、公務員のようなツラだが、比類なき強靭な音を出した歴史的バリトン・バッパーである。











メンバーは以下の通り。
Pepper Adams (Bs)
Zoot Sims (Ts)
Tommy Flanagan (P)
Ron Carter (Ba)
Elvin Jones (Ds)

この面子だけでも、聴くのは義務といってよいだろう。

残念なのは、アダムスのバリトンの録音がテナーに比べて小さいことだ。
エルヴィン・ジョーンズのドラムはドカドカうるさく録れているにも関わらずである。
録音環境によるものだろうが、もう少し何とかならんのか。

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ズート・シムズ/"Soprano Sax"
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2011年3月10日木曜日

ズート・シムズ/"Soprano Sax"

ソプラノサックスをどういう音にしたいのかイメージがつかめず、困っていたときにバンドの先輩に薦められて買ったのがコレ。
テナーマンとして有名なズート・シムズだが、
実はソプラノサックスの名手でもあるのだ。

同じクール派のテナーの中でもスタン・ゲッツのように華のあるタイプではなかったが、レスター・ヤング直系のひたすらスイングしまくるスタイルを貫いた。

本作の録音は1976年。
フュージョンの足音が聴こえてきそうな時代に、50年代の録音かと思うような選曲と演奏を選択したのも、ズートならではといえるのではなかろうか。

1曲目"Someday Sweetheart"はディキシー時代の古い曲。
一緒に口ずさみたくなる親しみやすいテーマがたまらん!
よく聴くと低音域ではサブトーンを吹き、コードトーンで駆け上ったキメの高音域では張りのある音になる。
このあたりの音色のコントロールは見事だ。
4曲目"Bloos For Louise"は愛妻のために書いたズートのオリジナルだそうだが、古いスタイルのブルースをソプラノで吹くというのがかえって新鮮。
ズート・シムズのソプラノは温かみのある音だが、これといった真新しいものはない。
シドニー・ベシェのように強烈なヴィブラートを使うわけでもないし、コルトレーンのような攻撃性もない。
だが、それがポイントなのだとも思う。
ソプラノのような高音域の楽器はコントロールがどうしても難しくなるので、口や喉をリラックスさせた状態で自然な音を出し、楽器を鳴らすという、当たり前のことがより重要になるような気がしてくるのだ。
ソプラノサックスの音源ならこいういうのをオススメしたい。
某ケニーなんぞ聴いたって仕方ない。

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2011年3月2日水曜日

松本英彦さん/"Sleepy"

TBMは若手ばかりでなく、ベテランの演奏も録音し世に出している。
そのひとつが日本テナー界の大御所、スリーピー松本さんによるこの一枚だ。

1976年録音。

松本さんは1926年生まれなので、当時50歳。
ビッグ・フォー時代はブローテナーのような迫力あるプレイがすばらしかったが、本作ではコルトレーンのような音色になっている。
ベテランの演奏なので激渋かと思いきや、実はかなり尖っている。

A面2曲目"You Don't Know What Love Is"では松本さんのフルートが聴けるのだが、
まず驚かされるのは低音の太さだ。
初めて聴いたときはアルトフルートではないかと思ったくらいである。
フルートの低音域を太く豊かな音で吹くというのは実は非常に難しいのだ。

B面1曲目"Right Down Step"は緊張感あふれるコード進行が印象的な急速調の曲。
日野さんのライドシンバルが緊張感にさらに拍車をかけ、松本さんのテナーが全音域を自在に駆け回る。
トリッキーなフレーズも飛び出し、「手に汗握る名演」と呼ぶに相応しい仕上がりになっている。

そして続く2曲目が本アルバムの目玉"My One And Only Love"。
あれこれ書いても仕方ない。
とにかく聴いてみて欲しい。
戦後日本ジャズ史における指折りの名演
であることに疑いの余地なし。

ちなみに、当ブログで既にご紹介した片山広明さんによる演奏と聴き比べると、
「同じスタンダードなのにこうも違うのか!?」
と感じられ、これまた楽しい。
<メンバー>
松本英彦(ts,fl)
市川秀雄(p)
井野信義(b)
日野元彦(ds)

2011年2月28日月曜日

宮間利之とニュー・ハード/"Take The A Train"

本日は名古屋出張の際にサボってレコード屋巡りをして手に入れた一枚。
最近熱心にTBMを集めているので、帰社予定を無視してとりあえず即買いした。
1975年、TBMが5日間ぶっ続けでジャズライブを行う"Live In 5 Days In Jazz"を主催したのだが、ニューハードのライブを録音したのが本作だ。

エリントンへのトリビュートとして演奏されているが、
標題曲"Aトレイン"はエリントン楽団の専属歌手であったベティ・ロシェのスキャットをホーンセクションで吹くというもの。

前衛的な挑戦もしていたニュー・ハードだけあって、アレンジは一味違う。
宮間さんご本人によれば、
「若いモダン・ジャズをめざすオーケストラがエリントンの曲をそのままやっても意味がないんです。漫画になっちゃうんです。」
とのこと(ライナーノーツより抜粋)。
そんな経緯で、このアレンジが生まれたのであろう。
どアタマのフォルテッシモが大迫力の名演。音量を大にして聴いていただきたい。
しかしまあ、TBMのレコードに共通したことだが、とにかく音がいい。
ビッグバンドものであれば、突き刺さるようなトランペットセクションや、アルトのビロードようなビブラートが、ライブの臨場感そのままに聴くことができる。
素晴らしい内容の本作だが、けしからんことにCD化されていない。
レコード自体は中古市場で入手可能なので、見つけたら即買いをおすすめする。
ちなみに、本バージョンのAトレインはコチラのCDでスタジオ録音版を聴くことができる!
これも要チェックの一枚だ。

2011年2月19日土曜日

今田勝/”ナウ!”(サックス:三森一郎)

ついつい更新が滞ってしまった…。

前回はスリー・ブラインド・マイスについて書いたので、今回は早速TBMの名盤を紹介したいと思う。


←70年代らしい挑発的なジャケットが印象的だ。












1970年録音。

新宿ピットインの2階に「ニュージャズ・ホール」が作られたのが69年であるから、まさに新しい「日本のジャズ」が毎晩生み出される、凄まじい時代だったはずだ。
本作のタイトルはそのものズバリ、『ナウ』(”Now”)。
まさに今、独自の新しい音楽が作られている、という意味からつけたのかもしれない。
「状況劇場」とネーミングの発想が似ている気もする。

メンバーは
今田勝 (P)
三森一郎 (Ts,Ss)
水橋孝 (Ba)
小津昌彦 (Ds)
※敬称略

当時は若手だったのだろうが、今から見るととんでもないメンバーだ。
全曲今田勝さんのオリジナル曲で占められているが、戦闘的なフリー・ジャズというよりも、

リラックスして聴ける好演
という印象が強い(とはいっても前衛的ではあるのでそこらへんは心配無用)。

A面1曲目『ノスタルジア』はどことなく哀愁漂うメロディーが美しいバラード。
三森一郎さんのテナーは、輪郭のはっきりした美しい、しかしちょっとささくれたようなサウンド。
もろに後期コルトレーンの影響が感じられる。高音域はテナーというよりも、太い音のソプラノサックスのようさえ聴こえるときがある。

B面の1曲目モーダルなナンバー『ゲーヒ・ドリアン』も好きだ。
モードのこういう曲演りてえ!と思わせる印象的なテーマ。
ちなみに「ゲーヒ」というのは「ヒゲ」の逆さ読みで、昔グループで一緒だったベーシストの吉沢元治さんがヒゲを生やしていたため、曲名に使ったとのこと笑。

全曲外れなし、日本ジャズらしさを存分に実感できる超名盤だ。

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2011年2月13日日曜日

スリー・ブラインド・マイス・レコード

久々に日本ジャズを紹介したいなと思ったが、その前に、私の大好きなあるマイナーレーベル

スリー・ブラインド・マイス
 (Three Blind Mice、以下TBM)について書いておきたい。



このTBMは、熱狂的ジャズファンの藤井武先生が「日本のブルーノート」を目指して1970年に設立された。

私はTBMが設立された時代には生まれてもおらず、というか精子にすらなっていなかったわけで、「このレーベルは云々」と偉そうなことを言える立場には当然ない。
が、レコードから飛び出す音はとても魅力的で、何か書かずにはおれないのである。

話が脱線してしまった。
TBMは日本人ジャズミュージシャンを専門に扱い、発表の場がなかなか与えられない新進気鋭の若手にも録音の機会を与えるレーベルで、マイナーレーベルとしては異例の154タイトルを世に送り出した。

※ちなみに、”Three Blind Mice”(3匹のめくらねずみ)というのはマザーグースに登場する歌である。
農家のおばさんが包丁を持って3匹の盲目のねずみを追い掛け回して切り刻むという、すさまじくサイコな歌だが、宗教的マイノリティー(おそらく清教徒のことと思われる)への迫害を歌ったものらしい。
もしそうであるならば、旧世界の価値観とは違う新しいものを作るという意味で、マイナーなジャズを記録し紹介するレーベル名として相応しいと考えたのかもしれない。


峰厚介、今田勝、大友義雄、土岐英史、山本剛、辛島文雄、宮間利之とニューハード、鈴木勲、金井英人、高柳昌行、松本英彦、東京ユニオン…(順不同、敬称略)。

今から見ると、とんでもない面子ばかりだが、当時はまだ無名のミュージシャンもいて、藤井さんは自らライブハウスに足を運び、これはというプレイヤーを発掘していたという。


日本ジャズが大きく動いた時代に録音されたため前衛的な内容のものが多く、中古屋で見つけるたびに「どんな音がするのかな。」と、ワクワクした。

日本ジャズの躍進に多大な影響を与えたTBMだったが、時代の波には逆らえなかったのか、2006年に倒産してしまった。
残念極まる。

我々のようなジャズファンにとっては大変ありがたいレーベルだったが、日本ジャズというマイナーなジャンルの、それも先鋭的なアーティストを多く取り上げていたのであるから、こう言っては大変失礼だが、なかなか売れなかったことと思う。


←レコードにはブックレットもついていた。
中古屋で買ってこれが入っていると、何やら得した気分になる。










2007年にソニーミュージックから人気の25タイトルが高音質CDで限定再販された(何枚出されたのかわからないが、今はほとんど売れ切れになっている)。

レコード業界の弱肉強食っぷりが垣間見える気がする。


そんな経緯で、TBMのレコードやCDは中古市場以外では手に入らなくなってしまった。
TBMをネットや中古CDショップで見つけた貴方(貴女)!

逡巡することなく買うことをオススメします!

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2011年2月5日土曜日

レオ・パーカー/"Back To Back Baritones"

前2回は、洗練された音のプレイヤーをご紹介したが、その反動なのか、ゴツゴツした無骨なバリトンサックスを聴きたくなる。

これは性としか言いようがない。


というわけで、今回はレオ・パーカーである。






古いモノラル録音で、1940年代後期のものと思うがよくわからん。

メルヴィン・ギルとの2バリトンらしいのだが、そもそもこのメルヴィン・ギル(Sax Gill)があまりにマイナーすぎて何者なのかまったくわからん。


まあ細かいことは置いといて、とにかく聴けばよい。
まったくやる気のないジャケットではあるが、
1曲目から特徴的な極太の音を満喫できる。現代的な、いわゆる「ドンシャリ系」とはまったく違う昔の楽器の音。
ブリブリ吹くだけでなく、奏法の基本がサブトーンになっているとわかる2曲目。

思わずヨダレが出てしまう。

バリトンサックスが好きな方には特にオススメしたい一枚だ。

2011年2月1日火曜日

ハーブ・ゲラー/”The Gellers”

前回はクールジャズ・テナーの代表格スタン・ゲッツをご紹介したが、クールから派生したウエストコースト・ジャズというのがある。

私はウエストコーストの中でも特にアルトがあまり好きではない。
熱気あふれるバップとは対極にあるスタイルなのでしょうがないんだが、楽器がフルに鳴っていないように聴こえてしまい、どうにも消化不良な感が否めない。
そんな中、オープンで明るい音を出すアルトがハーブ・ゲラーである。

ジャケットの写真で見る限り、マウスピースはブリルハートのトナリンのようだが、こんな鋭くクリアな音が出せるのか。
息のスピードを早くした吹き方なのだろうが、力んでいるようにはまったく聴こえない。

フレーズでいうと、この人のアルトは圧倒的に正確だ。
いかに速いテンポの曲であろうと、指が転ぶことがない。吹き流すということを決してしない。
よく言えば正確、悪く言えば神経質なわけだ。
“Geller”という苗字からするとドイツ系だろうか。もしそうなら神経質な演奏というのもある程度理解できるような気がする。

本作は愛妻ロレイン・ゲラー(p)との競演でも有名であり、無伴奏ピアノソロの曲も収録されている。
夫への愛情がこめられているような素晴らしいソロだ。
しかしロレインはこの録音の3年後、白血病で亡くなってしまう。
最愛の妻を失ったハーブは活力を失い、カムバックに長い時間を要することになる。


本作はゲラー夫妻が最も充実していたころの演奏といえるだろう。

2011年1月30日日曜日

スタン・ゲッツ最後のステージ/”People Time”

前回書いた高瀬アキの”Blue Monk”が録音されたのは1991年だが、同年にジャズテナーの巨匠最後の演奏が吹き込まれていた。




スタン・ゲッツである。






本作は1991年3月、ゲッツが癌で亡くなるちょうど3ヶ月前に録音されたライブ盤である。
ケニー・バロンのピアノとデュオで、全曲スタンダード。
理論的に難しいことは何もやっていないが、二人のソロは実にメロディアスだ。バロンの透き通ったピアノがとても心地よい。
テナー、ピアノともにアドリブの練習素材としても最適といえる。
だが、そんな話はここでは重要ではない。
本作において何よりも聴くべきは、ゲッツの音の凄まじさである。

2011年1月25日火曜日

高瀬アキwithデヴィッド・マレイ/”Blue Monk”

前回ハミエット・ブルーイットについて書いたあと、同じロフトジャズ仲間のデヴィッド・マレイ(David Murray)を無性に聴きたくなって久しぶりに取り出したのがコレ。


ヨーロッパを中心に活動するピアニスト高瀬アキさんとのデュオという、少々珍しい編成だ。
マレイはテナーとバスクラリネットを吹く。

マレイは70年代ニューヨークのロフトジャズ・ムーヴメントで頭角を現したテナー奏者だ。
リーダーアルバムがやたらと多く、ワンホーンカルテットからビッグバンド、変なファンクまで守備範囲は広い。


「アルバート・アイラーを踏襲したスリリングなプレイ」(?)
などという、わかったようなわからないような謳い文句で日本でも紹介され話題となった。


たしかにアイラーのようなフリーフォームの奏法を多用するが、基本的スタイルは戦闘的な前衛ではなく、むしろコールマン・ホーキンスに根ざした新鋭正統派という印象が強い。


音はとにかく極太。

鉄芯が入ったようかんのような重さがあり、
(我ながらいい例えだなァ)
コシもある。

これにはベルグラーセンのマウスピースも一役買っていると思われる。

※ラーセンのマウスピースについてはまたの機会に。

2011年1月21日金曜日

ブルーイット・バリトンネイション/”Libation For The Baritone Saxophone Nation”

私がもっとも敬愛するバリトン奏者ハミエット・ブルーイット先生。



バリトンのワンホーン・カルテットでは飽足らず、バリトン4本+ドラムという
とてつもなくアホで
最高に刺激的なグループまで作ってしまった。

何故にこういうおもしろいことを思いつくのか。

2011年1月16日日曜日

コーン6Mのネック(アルトサックス)

ヴィンテージサックスが好きな方はよくご存知のことと思うが、コーン(C.G.CONN)製アルトのネックには『マイクロチューニングデバイス』なる物がついている(ないものもある)。

これは、ネックについているダイヤルを回してネック自体を伸縮させてチューニングするという、驚くべきシステムであった。
(結局この機構を使ったのはコーンだけだったが)



本題はここから。
これまでは、せっかくチューニングデバイスが付いているのに、マウスピースの抜き差しで対応していたが、ふと思い立って
目いっぱいマウスピースを突っ込んだ状態でデバイスをくるくる回してチューニングし、吹いてみた。

2011年1月13日木曜日

フィル・ウッズとジーン・クイル/Phil Talks With Quill

前回はテナーバトルについて書かせていただいたが、アルトのバトルモノでも負けず劣らず熱い演奏がある。


1957年録音。

バップの有名曲をアルト2本でこれでかとばかりに吹くわけだが、このころの二人は音が似通っているので、フレーズの手癖などをよく聴かないと、どっちがどっちだか
正直よくわからん。

2011年1月12日水曜日

ジョニー・グリフィンとエディ・ロックジョウ・デイビス/"Lookin’ At Monk"

前回ジョニー・グリフィンについて書いたばかりだが、我慢できなくなったので、本日はロックジョウ・デイビスとのツイン・テナーアルバムをご紹介。

1961年録音。
ハードバップ黄金期を過ぎた時代にあっても、まだ熱い音源はある!
この二人のバトルアルバムはリバーサイドやMPSなどからも出ているが、本作はタイトル通りモンクの曲だけを演奏したという点で異色だ。

モンクは変な曲を書くことで有名なおっさんだが、この二人の手にかかると、あら不思議。
イケイケテナーバトルに変わってしまう。

一聴してわかるほど両者のスタイルは違うが、どちらも野太く重量級の音圧だ。

2曲目”Well You Needn’t”のチェイスのようなアップテンポの曲が、2管決闘の図をもっとも満喫できる形だろう。
モンクの変な曲にイマイチ乗り切れていない風のロックジョウも「俺これが得意!」とばかりにグロウルし(笑)、タフテナーをアピール。

一転、名曲”Round Midnight”ではグリフィン一人であのテーマをじっくり吹く。
ここぞというコードチェンジで、ここぞという盛り上げ方。憎い・・・。


ベイシーが愛したワイルドテナーのロックジョウとハードバップの速射砲グリフィン。
こういう音源にこそ、古きよきテナーバトルの醍醐味がある。


Johnny Griffin(ts)
Eddie “Lockjaw” Davis(ts)
Junior Mance(p)
Larry Gales(b)
Ben Riley(ds)

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ジョニー・グリフィン/Studio Jazz Party

2011年1月10日月曜日

ジョニー・グリフィン/Studio Jazz Party

俺が好きなハード・バップテナーの一人であるジョニー・グリフィン。

低音から高音域まですべてを存分に使った起伏に富むフレージングと、「豪快」と呼ぶに相応しいぶっとい音が魅力だ。

とはいえ、演奏スタイルはホンカーやブロウ・テナー族とは違い、拍に忠実である(ホンカーがメチャクチャやっていると言いたいわけではないが)。
突然「ギョエー」とフラジオをぶちかましたりはしない。

よって、バップフレーズの練習素材としても大変重宝するわけだ。

“Studio Jazz Party”


2011年1月8日土曜日

サヒブ・シハブ/“Sentiments”

近年やたらと再評価されているサヒブ・シハブ。

バリトンサックスが有名だが、アルト、ソプラノのほかにフルートも吹くマルチリード奏者だ。




ちなみにサヒブ・シハブというのは回教名(ムスリム)で、本名はエドモンド・グレゴリーという。
なんか普通過ぎるが・・・。













“Sentiments”

65年および71年の録音を収めたお得盤。
前半ではサヒブのソプラノ(!)がワンホーン・カルテットで聴けるのが珍しい。
後半はThe Danish Radio Jazz Group(デンマーク放送所属のバンド)によるアンサンブル。こっちではバリトンとフルート。

サヒブはマリガン信奉者だそうだが、なるほど、バリトンの音はペッパー・アダムスのようなブリブリ系ではなく、軽やかだ。

それとは対照的に、ソプラノはかなりバキバキした、芯のある音になっている。

表題曲“Sentiments”もソプラノで吹いているが、いきなりオルガンとエレキベースが入ってきて、いうなればインチキ臭いクラブジャズといった雰囲気である。このいい加減さがまたいい。

マイナーのファンキーチューン(3曲目)が出てきたかと思えば、サスペンス映画のBGMで流されそうな12曲目など、全体的にサヒブの曲は変なのが多い。

それがまた面白いんだが・・・。

ケニー・ドリューが参加していることからも、本作は今となっては貴重な記録だ。

☆次回をお楽しみに☆

2011年1月7日金曜日

追悼マリオン・ブラウン

2010年10月18日、マリオン・ブラウン逝く。

不覚にも最近まで知らなかった・・・。

←ESPから出たカルテットのレコード。
  見つけたら買っておこう。


60年代中盤、フリージャズが一気に台頭した時代に頭角を現した前衛派のアルトだが、わけのわからんノイズをただ撒き散らす如き演奏をすることはなかった。





失礼を承知で言わせていただくと、アルト奏者としてはヘタである。
綺麗で繊細な音を出すプレイヤーで、指もそんなに回らない。

太い音で押してくるような演奏が好きな俺としては「もうちょっと気合を入れんかオッサン!」と言いたくなるときもままあるのだが、淡々とした、しかし聴衆に媚びることのないフレーズを吹くマリオンが不思議と好きであった。
“Offering”

92年録音、コルトレーンに捧げるというテーマの作品。
スローな曲が多いので、丸くなったようで少々物足りなさも感じるが、ヘタクソでも印象的なフレーズ、シンプルかつ美しい音は60年代とあまり変わらなくていい。
ヴィーナス・レコードから出ているのは何か気に入らないが、
それは置いとこう。
5曲目”Golden Lady”はなんとなく雰囲気がエリック・サティ。
それもそのはず、マリオンはサティの研究に明け暮れていた時期があったのだ。

最後を飾るコルトレーンの名曲”After The Rain”では、牧歌的な風景が見えてくるような、純粋なアルトを聴くことができる。

ちなみに

コルトレーン世紀の問題作(?)”Ascension”では、うまいんだかヘタなんだかよくわからんソロを吹くマリオンを聴くことができる。


☆次回をお楽しみに☆

2011年1月5日水曜日

山下洋輔トリオ/キアズマ

平成23年になったものの、先の見えない状況が続く。 「草食系男子」などというクソの足しにもならない輩が増え、時代は閉塞感に満ちている。

こういう時にこそ、圧倒的なパワーで聴衆をねじ伏せる音楽が必要ではないのか。

75年ドイツでのライブ、山下洋輔トリオ第2黄金期の代表作である。

メンバーは山下洋輔(p)、森山威男(ds)、
そしてアルトサックスはもちろん坂田明。


海外の著名プレイヤーに「山下洋輔トリオのあとに演奏するのは勘弁してくれ。」と言わしめた、ぶっちぎりに疾走する雷のようなサウンドだ。








2011年1月2日日曜日

イリノイ・ジャケー/"Jumpin’ at Apollo”

2011年一発目はお祭りテナーで行きたいと思う。

ホンカーといえばこの人は外せない。

アーネット・コブより少し前にホンカー族として名を馳せていたので元祖とも思えるが、ジャケーは「ホンキングはレスター・ヤングに習ったよ。」と言っていたらしく(本当かいな)、ホンカーの源流は未だに判然としない。

“Jumpin’ at Apollo”

1945年から47年までの録音が合計23曲も入っているお得音源。

フロント3ないし4管でドカドカとスウィングする。ひとことで言えば、これは
バカバンドである。

※「バカ」というのは敬意をこめた表現であるとご理解いただきたい。

これぞジャンプ・ブルースと呼ぶべき、底抜けの明るさ、ムサさ、そして漫画のような曲のエンディング。


ジャケーのテナーは

・グロウル奏法が基本
・ソロで困ったらとりあえずフラジオ

というホンカー要素満載。家で一人で聴いていても「いけぇ!」と思わず叫んでしまう。

メンバーもやたらと豪華だ(今から思えばだが)。

ベースはミンガス、バリトンはレオ・パーカー、ワイノニー・ハリスのシャウトにギターはフレディー・グリーン!

こういうのをお宝音源と呼ぶのだろう。

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レオ・パーカー/"Back To Back Baritones"

2010年12月31日金曜日

エリック・ドルフィー/"Far Cry"  および大晦日のご挨拶

2010年最後の日にふさわしいプレイヤーについて何か書こうと考えたのだが、
エリック・ドルフィーを選んだ。


※ドルフィーについては様々な文献で書き尽くされているが、大晦日だし気にしない。






行き詰ったハードバップの時代から、モードとも違う方法で脱却し、フリージャズへの架け橋となったが、その先に行く前に死んでしまった。

仮にドルフィーがそのまま生きていたなら、60年代以降のジャズも今とはまったく違った様相を呈していたかもしれない。



Far Cry

こんなこと書くとジャズファンの方々にぶん殴られるかもしれないが、ドルフィーを聴いてもなにをやってんだかまったくわからない。
が、それがまた極め付けに面白いとこでもある。